皆さんは“ヤングケアラー”をご存知でしょうか。
ヤングケアラーとは法的な定義はありませんが、家族の中にケアを必要とする人がいる場合に18歳以下の子どもが家事や家族の介護・介助、小さい子どもの世話、家計を支えるための労働など、本来であれば大人がするようなことをしている子どものことです。
総務省の行った平成29年就業構造基本調査によると、30歳未満で介護を行っている人の数は21万人以上とされています。
戦前~昭和初期・中期頃は、祖父母と同居する子沢山の大家族が多く、子守をしながら学校へ通ったり、田植えをしたり、病気の家族のケアをしたり、家庭内のことは子どもも含めた家庭全体で協力してするのが当たり前のような時代もありました。
令和へと時代は変わり、核家族化や様々な生活様式の変化もありますが、今の時代でも子どもが家族のケアをすることもあるのですが、調査を行っても、なかなかその実態を把握しにくいともいわれています。
その要因として、家庭内の問題であることから表面化しづらいということ、当事者である子どもやその家族が“ヤングケアラー”を問題視していない、もしくは認識していない、学校の先生やケアマネージャーなど家庭に関わる人が「ヤングケアラー」自体の概念や支援対象であるという認識が不足しているということなどが挙げられます。
ヤングケアラーである子どもはひとりで責任を抱え込んでしまったり、困りごとを誰にも相談できず孤独を抱えてしまいがちなため、ヤングケアラーの早期発見やサポートが重要です。
また、友人関係や学校行事よりも家庭のことを優先させてしまうために、大人になってからも社会に溶け込みづらいということもあります。
ヤングケアラーにみられる傾向として、欠席や遅刻、早退が多い、精神的に不安定、身だしなみが整っていない、学力の低下、提出物や忘れ物が多い、部活を途中で辞める、などがあります。
子どもは自らなかなかSOSを発信しないため、周囲の大人が些細な変化に気づいてあげられるとよいですね。
参考資料
- 令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 ヤングケアラーの実態に関する調査研究 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
- 平成29年就業構造基本調査 男女,年齢,介護の有無・頻度,介護休業等制度利用の有無,就業状態・仕事の主従・就業希望意識・就業希望の有無・求職活動の有無別15歳以上人口-全国
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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