今回は発達心理学についてのお話です。
発達心理学も基礎心理学に分類されます。何事も基礎は大事ですね。
さて、昔は人間の発達は乳児から20代くらいになるまで、といわれていました。20代以降はもう発達なんてしない、と考えられていたのです。
なので、研究も20代くらいまでを対象としていました。
現在ではそんなことはなく、発達心理学では乳児から老年期までを研究対象としています(さらには死後の心理についての研究もなされているとか)。
老年期といえば日本は超高齢化社会に突入し、今後も高齢者率は高くなることが予測され、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。
人口の4割が高齢者?!と驚いてしまったのですが、かくいう私も42年後は高齢者でした。
なんだか「高齢者」というと(これは個人の勝手なイメージです)若いころに比べて、物事を覚えにくかったり、動作がゆったりしていたり…と今回のテーマの「発達」とは真逆をいく気がします。
ところが、20代を過ぎても発達する能力や、高齢者になっても衰えない能力があることを知っていましたか?
それは、キャッテル(Cattell,R.B)らが提唱した、結晶性知能と流動性知能のことです。
知能をこのふたつに分けて考え、結晶性知能とは、経験、学習などから獲得していく知能であり、言語能力、理解力、判断力などを含みます。
一方、流動性知能とは、新しい情報を学習したり、記憶したりする知能であり、処理のスピード、直感力などを含みます。
結晶性知能は20代以降も上昇し、高齢になっても安定しているといわれています。
また、流動性知能は30代を過ぎると60代ごろまで維持され、その後は低下の一途を辿るといわれています。認知症の患者さんでも結晶性知能は保たれていることが多いそうです。
長い人生で積み重ねてきた経験や知識はそう簡単には忘れないということですね。
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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