満員電車のストレスは何に匹敵するか

電車、バスなどの公共交通機関を利用して通勤される方もいらっしゃるかと思いますが、通勤通学時間帯の混雑は本当にイヤなものですよね…。
家人も満員電車に揺られ通勤しているのですが、会社に着く前にすでに疲弊しています。
人にはパーソナルスペースといわれる縄張り(距離によって4種類に分けられます)があり、他人が常に自分の縄張りを侵害している状態なのでイライラするのも無理はないのかなとも思います。

以前上京した際、朝8時頃駅のホームに行くと、都心へ向かう車内は人が押し潰された状態でした。
それでも乗り込もうとする人々とその背中を押す駅員の姿に唖然としたことを覚えています。

また、空港へ向かうためキャリーケースを引いて朝の山手線に乗ったことを当時新宿に住んでいた友人に話すと真剣に「やめろ」と怒られたことを思い出しました。
それからは混雑の少ない時間帯を選んで移動しています。

そんな永遠のテーマともいえる満員電車での通勤通学ですが、満員電車におけるストレスの負荷についての調査結果が発表されています。

かれこれ15年前のものになりますが、イギリスのDavid Lewis博士が調査したもので、ラッシュ時の満員電車に乗った際のストレスは、臨戦態勢に入った戦闘機のパイロットや機動隊の隊員よりも高い―とのことです。
この理由のひとつとして、パイロットや機動隊員は生じるストレスへの対策を講じることができるけれども、満員電車内では何も対策を講じることができないということが挙げられています。

ストレスは健康にも悪影響を及ぼします。
ストレス刺激は脳の視床下部に伝えられ、内分泌系では下垂体と副腎からホルモンが分泌され、心拍数の増加や血圧の上昇、代謝率の上昇、自律神経系では、交感神経系が活性化し心拍数の増加や骨格筋の緊張などが生じます。
自律神経系と内分泌系に免疫系が加わり、心身の恒常性が維持されていると考えられていますが、長期に渡ってストレスがかかると、これらのホルモンが過剰に分泌され、心身の恒常性が崩れてあらゆる疾患の発症リスクが高まります。

時差通勤制度を設けたり、テレワークを導入したりする企業や、始業時間をずらす学校もあるようですが、すべての企業や学校で導入することは困難です。
通勤通学だけでほぼ疲れてしまいがちですが、少しでもリフレッシュできるような時間を自分でつくることも大切ですね。

参考資料 BBCニュース 2004年11月30日 http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/4052861.stm


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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