世界渡り鳥デーと心理学の関係

世界渡り鳥デーと心理学には、どのような関係があるのでしょうか

5月9日を含む5月の第2土曜日は、「世界渡り鳥デー」

日本では365日のすべてに、何らかの記念日が制定されています。2026年の5月9日を含む5月の第2土曜日は、「世界渡り鳥デー(World Migratory Bird Day)」に制定されています。これは国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)が定めた国際デーの一つで、2006年から始まった記念日です。この日は、渡り鳥(migratory birds)が直面する脅威、その生態学的重要性、そしてそれらを保護するための国際協力の必要性について、世界的な認識を高めることを目的としています。毎年、渡り鳥とその生息地の保全の必要性を強調する意識向上キャンペーンとして、世界各地でバードフェスティバル、教育プログラム、展示会、バードウォッチングなどのイベントが開催されています。

ちなみに、渡り鳥とは、食糧、環境、繁殖などの条件に応じて、定期的に長距離を移動(渡り)する鳥のことを指します。渡り鳥は、昼間は太陽の位置、夜間は星座の位置から現在地や進行方向を把握できるとされています。また、地磁気、風向き、地形などの情報も手がかりにして、正しい方角へ飛行していると考えられています。

日本で観察される渡り鳥は、主に三つに分類されます。繁殖のために日本より南方から渡来し、夏を日本で過ごした後、越冬のため再び南へ渡る「夏鳥」、越冬のために日本より北方から渡来し、冬を日本で過ごし、春になると繁殖のため北へ戻る「冬鳥」、そして渡りの途中で日本を通過する「旅鳥」です。具体例として、夏鳥にはツバメ、アマサギ、オオルリ、キビタキ、クロツグミ、ハチクマ、サシバなどが挙げられます。冬鳥にはツグミ、ジョウビタキ、ユリカモメ、マガモ、オオハクチョウ、マナヅル、オオワシ、マガンなどが含まれます。旅鳥には、シギ・チドリ類が代表的です。

では、心理学と渡り鳥を含む鳥類には、どのような関係があるのでしょうか。

鳥が教える「心」の科学

心理学には「動物心理学」という分野があります。「動物に心があるのか」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、人間と同様に、動物にも知覚、認知、生理、行動があり、環境の変化に対して適応的に振る舞う点で共通しています。また、動物も成長の過程で精神的発達を遂げるため発達心理学的側面を持ち、群れで行動する動物には社会性が見られることから、社会心理学的要素も含まれます。

では、動物心理学における鳥類研究からは、具体的にどのようなことが明らかになっているのでしょうか。野生のシジュウカラやヤマガラを対象とした研究では、「どこに・いつ・何を隠したか」を記憶する能力、いわゆるエピソード記憶が確認されています。これは、環境に適応するために進化した高度な認知機能であると考えられています。さらに、山地に生息するチコディー(ヤマガラの一種)では、空間学習や記憶能力が高い個体ほど平均寿命が長いことが、追跡調査によって明らかになっています。これは、認知機能の高さが生存率や繁殖成功に直結することを示す重要な知見です。

学習心理学の観点からは、オウム類や一部の鳥が、人間が設計した課題(例:ねじ式蛇口から水を出す)を、観察学習や模倣によって解決できることが報告されています。これは単なる本能行動ではなく、複雑な手順を理解し実行できる学習能力を有していることを示しています。

鳥の歌、文化をつなぐ

言語心理学の分野では、絶滅危惧種であるホニーイーターという鳥に関する研究が知られています。この種では、個体数減少によって本来の歌のパターンが失われていましたが、野生個体を「歌の教師」として導入することで、若い鳥が本来の歌を再学習することに成功しました。この結果は、鳥類にも文化的学習や伝承が存在することを示唆しています。

また、オウム類は単なる音声模倣を超え、状況に応じて言葉を使い分けたり、意味を理解して使用する能力を持つとの報告もあります。これは、社会的状況の理解や記号的意味操作に近い能力を備えていることを示しています。さらに、ケニアスーパースターリングに関する研究では、非血縁個体間で相互に助け合い、いわば「友情」とも呼べる協力関係を形成することが確認されています。こうした行動は、従来の親族選択説だけでは説明が難しく、互恵性の存在を示すものといえます。これらはいずれも、社会心理学的視点から鳥の行動や社会構造を解明する研究です。

また、鳥類の生態と交通騒音の影響を扱った研究では、人為的な音環境が鳥のコミュニケーションを妨害し、結果として攻撃性を高める可能性があることが示されています。これは、動物心理学と都市環境問題が交差する典型的な事例といえるでしょう。

最後に

このように、心理学は多様な観点から鳥類の行動や認知、社会性を研究しているのです。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部

 

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