短期記憶の特性はネット通販にも活用?

以前、このコラムで記憶のメカニズムについて取り上げ、その中で短期記憶についても解説しました。
これをさらっとおさらいすると、短期記憶とは数分もしくは数十分くらい保たれる記憶のことを指します。
さて、今回は短期記憶で記憶できる情報の数について紹介したいと思います。

心理学について勉強されている方はご存知かとも思いますが、短期記憶で記憶できる情報の数は「マジカルナンバー」と呼ばれています(わたしはマジカルと聞くと、遠い昔、某テレビ番組で流していた、マジカルバ○ナを思い出します)。

このマジカルナンバーは1950年代に心理学者のジョージ・ミラーが発表した論文に基づき、「7つ前後(7±2)」というのが定説とされてきましたが、21世紀に入り、同じく心理学者であるネルソン・コーワンにより「4つ前後(4±1)」説(2001)が提唱され、現在ではこちらが主流になりつつあります。

このマジカルナンバー、実は身近な商品や通信販売の世界で活用されているそうです。
商品のバリエーションの数を6つ以上にしてしまうと、消費者側が比較するために記憶しようとするも短期記憶の数を超えるため覚えづらく、疲れてしまい購買意欲に悪影響が出ると言われていることから、出来るだけ避ける傾向にあるそうです。

また、逆にTV通販などで商品のセールスポイントを消費者に伝える際には、セールスポイントを6つ以上伝えることで、消費者側に「覚えきれないくらい多くの良い点がある素晴らしい商品だ」とアピールする効果が期待出来るそうです。

テレビの通販番組などはこれまでは何気なく見ていましたが、次回からはマジカルナンバーが活用されているかどうか、意識しながら見てみたら面白いかもしれません。企業戦略ってすごい。

参考文献

  • The magical number 4 in short-termmemory: A reconsideration of mental storage capacity
  • Cowan N.(2001)
  • こころ検定4級公式テキスト
    日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会 監修
    第2章 “こころ”と物事の捉え方の関係

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