苦情とクレーマー

この未曽有の事態により、生活方式を余儀なく変えざるを得なかった方もいらっしゃるかと思います。
その中でも、人と人との絆を実感したり、人の優しさに触れたりということもあったのではないでしょうか。
また、その逆も然り、先の見えない不安や焦りからイライラしたり、怒りを感じやすくなったりといった、感情の変化を実感した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

人間の感情の一種としては、当たり前な「怒り」なのですが、残念なことにそれを他人にぶつけたり攻撃したりということもよく見聞きしました。
このコロナ禍で消毒やマスクなどの衛生商品の品薄により、ドラッグストアの販売員に「なぜ無いのか」「今すぐ用意しろ」と詰め寄ったり暴言を吐いたりといった問題行動が全国で起こっていたことは記憶に新しいのではないでしょうか。

苦情をいう人たちの心理機能として、「不満の解消、不安の軽減、公平性(社会的)の回復」が挙げられています。
確かに当時の社会状況としては先行きが不透明な状況であり、情報の錯綜、デマの拡散などによる不安や、自粛による行動の制限などによる不満、「自分も平等に扱われるべきだ!」というような怒りによって攻撃的になっていた人が増えていたのではないかと考えられます。

また、苦情をいう人は年々増えており、その背景として消費者基本法により消費者の意見が反映される権利、情報を知る権利が消費者に与えられたことによって消費者の地位の向上がなされたこともあります。
「苦情」というのは「(不具合やミスによって)困っている、こういった不利益があるから改善出来ないか」ということを伝えることであり、行き過ぎた「誠意を見せろ」「不当な要求(金品の要求や土下座を求める)」といったことをするのは「クレーマー」です。

かくいうわたしも体調が悪い時などはついイライラしてしまい、怒りを相手にぶつけてしまいそうになりがちですが、相手も同じ感情をもつ人間だということを忘れずに冷静になろうと改めて思いました。

参考

  • 池内 裕美 モンスター化する消費者たち 
  • 2011年6月18日 日本社会心理学会第55回公開シンポジウム「消費の病理:逸脱的消費者行動の現状に迫る」
    http://www.socialpsychology.jp/sympo/55/ikeuchi.pdf
    アクセス日:2020/06/10

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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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