人間が生きていく上で、脳の働きはとても大切なものです。
人の脳は男性で1300~1500g、女性で1200~1400gあり、体重の2%ほどの器官といわれています。
脳の機能について、例えば「海馬」は大脳皮質から送られてきた情報を整理し、取捨選択して短期記憶として蓄積しつつ、大脳皮質に伝達します。
そんな脳機能については、医学的立場からの「機能局在論」と、脳科学的立場からの「全体論」の2つの理論があります。
「機能局在論」とは、脳のさまざまな機能は脳の局在されたそれぞれの部位で行われていると考えるものです。
「全体論」とは、脳の全体が一つとなって機能を担うと考えるものです。
結論からいうと、この問題は現時点では決着がついていません。
心理学の実験において、ストループ効果というものがあり、これは文字の意味と実際に提示された文字の色が異なる場合(例:文字色は「青」なのに「赤」と書いてある)、どうやって人間の脳はこれを知覚し、情報を処理するのかというものです。
この過程において、脳の各部位がどうやってひとつの情報にまとめるのかについては「機能局在論」では説明することができません。
また、現時点ではそのような役目を果たす「機能局在論」の「部位」も発見されていません。
さらには、脳が全体で情報処理をしているといった「全体論」においても説明もできていない現状があります。
つまり、脳の各部位で生じた情報がどのようにしてひとつにまとめられるのかという結論がでていないということです。
ストループ効果は、文字の意味と文字の色を処理する機能を有する脳の部位を安易に特定することの危険性を示唆しています。
現在「機能局在説」が疑問視され、脳の全体が一つとなって機能を担う「全体論」が脳科学者によって支持されていますが、これを説明できる定説は存在しておらず、脳の機能についてはまだ謎が沢山あります。
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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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