【身近な精神疾患】パニック症

精神疾患にはさまざまなものがあります。よく知られているのはうつ病や双極性障害ですが、その他にも不安症や強迫症があります。
不安症の中でも今回はパニック症について掘り下げてみます。
パニック症は100人に2~4人の割合で発症し、男性よりも女性の方が2倍も多く発症するとのことです。実はわたしの友人にもパニック症を抱えながらも毎日頑張っている人がいます。

パニック症とは、身体の異常がないにもかかわらず突然、動悸、窒息感、震え、めまい、不安、死への恐怖などの症状(パニック発作)があらわれます。
この発作はいつ起こるかわからないということもあって、発作が何度か繰り返されるうちに「また発作が出たらどうしよう」というような予期不安が生じます。
パニック症の30~50%の人は、電車や閉鎖された空間など“すぐには逃げられない場所”へ行くことを避けるようになります(これを広場恐怖といいます)。

このパニック症とどう向き合っていけばよいのでしょうか。周囲は不安を軽減させようと「気のせいよ」とつい声をかけてしまいがちですが、そうではありません。
近年では不安症は不安に対する脳機能の障害によるものという説もあります。

また、うつ病とパニック症は併発することも多くみられるため、早期対策が大切です。

パニック症への治療方法として、薬物療法や認知行動療法が有効とされています。
認知行動療法では刺激(環境・出来事)がどのような反応(身体的・行動的・認知的)を生じさせ、結果としてなぜその問題が続くのかに焦点をあてて考えます。

心の問題を生じさせるクライエント自身の思考や認知(考え方)を変え、認知が変わることにより感情が変われば行動も変化すると考え、問題解決に向けて適切な行動を習得させようとするものです。

本人には、パニック発作で死んでしまうことはなく、薬で効果的に治療でき、必要以上に不安になる必要はないことを伝えることがベターです。また、治療には周囲の理解と協力が重要です。

参考資料

面白いほどよくわかる!臨床心理学
監修 下山晴彦 西東社 2012


メンタルケア心理士テキスト 精神医科学基礎
監修 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会 2018 


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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