知覚のはじまり~聴覚編~

前回、知覚は、感覚器官で感じ取った外界の刺激に意味づけをするまでの過程といいましたが、今回は、この知覚のはじまりについて書きたいと思います。

★前回の記事「知覚の仕組み~人はどうやって見たり聴いたりしているの?

人間の感覚器官には、目(視覚)・耳(聴覚)・鼻(嗅覚)・舌(味覚)・皮膚(触覚)などがありますが、すでに胎児期にかなり出来上がっています。
特に聴覚受容器は、早くから発達しており、胎児は、子宮内で心拍音や血流音など母親の体内の様々な音を聞いて育つといわれています。
母親が胎教のためにクラシックを聴かせたり、お腹の子どもに話しかけたりしますが、ちゃんと聴こえているんですよ。

胎児の耳は、まず妊娠4~5週頃に耳の溝や隆起が起こり、内耳、中耳、外耳を作り始めます。
妊娠8週頃には、三半規管や耳たぶなどができて耳の形が整ってきます。
妊娠5ヶ月(16~19週)頃に外見上の形ができあがっていますが、音の伝達に必要な耳小骨や蝸牛が大人と同じ状態になるのは、妊娠7ヶ月(24~25週)頃です。
耳の器官が出来上がったとしても、まだ神経は発達途上なので、耳に入った音を「音」だと認識はできません。
耳に入った音を理解し、音の聞き分けができるようになるのは妊娠8ヶ月頃からといわれています。

また、母親が好きな音楽を聴いたり、何かに興奮した時に、その感覚が胎児に伝わり、胎動が激しくなることがあります。

アルバート・リリーというドイツの学者は、6ヶ月をすぎた胎児はオーケストラの強烈なドラムの響きに、おどりはねるように反応すると述べています。
この報告は、聴覚学者のミッシェル・クレメンツ博士が、胎児にモーツァルトやビバルディの曲を聴かせると、その拍動は安定し、動きもおとなしくなるが、ベートーベンの曲やロック音楽を聴かせると拍動は速くなり、激しく暴れだすという指摘と一致しているといっています。

モーツァルトの音楽は優しい楽曲が多いので、母親もリラックスして胎児にもそれが伝わって胎児もリラックスするようです。
モーツァルトが胎教に良い音楽といわれるわけですね。


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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