お父さんの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
9月13日および毎月13日は「お父さんの日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。9月13日および毎月13日は「お父さんの日」に制定されています。これは株式会社ヤクルト本社が制定したものです。日付の由来は「おとう(10)さん(3)」(お父さん)の語呂合わせからきています。
この日は、毎日働いて一家の大黒柱として頑張っているお父さんに月に1回、感謝の気持ちを表すことを目的としています。また「人も地球も健康に」をコーポレートスローガン掲げる株式会社ヤクルトとして、お父さんが健康にとの願いも込められています。なお、より一般的には「父の日」というものがありますが、これは6月の第3日曜日となっています。「父の日」はアメリカの風習が日本に伝わったもので、日本では父に日頃の感謝の気持ちを込めて、黄色いバラやシャツ、ネクタイ、ビールなどの贈り物をすることが多いです。これに対して「お父さんの日」は前述の通り、健康を願うという要素が強くなっています。
では、父親というものについて、心理学ではどのように研究しているのでしょうか。
家族心理学における親の役割とは
心理学の応用分野の1つである家族心理学では、父親や母親の役割として子どもの養育や教育を挙げています。ただし、現在は養育・教育の「外部委託」が進んでいます。保育園や幼稚園に通う子どもは多く、場合によっては定員がいっぱいで入園待ちや抽選などのような状況も増えています。つまり、養育・教育の場としての父や母のみが担っていた役割が徐々に家庭以外の「外部の専門機関」へ、父母から「外部の専門家」へと移行しているわけです。
また、古典的な精神分析学では、父親との関係性の中で人間の精神の発達やパーソナリティの確立がなされていくとされています。精神分析学を創始したジグムント・フロイトは精神分析学において性欲が重要な要素であるとし、これをリビドーとよんでいます。リビドーは人間が生きていく上でのエネルギー源としての性的エネルギー(性的欲動)を指す概念であり、生まれつき誰にでも備わっており、子どもも小児性欲という形で性欲を持つとされています。そして、小児性欲は乳幼児期から思春期以降までの発達段階に応じて関連する身体箇所が異なるとされており、精神分析的な発達段階の概念として心理- 性的発達理論が提唱されています。この心理- 性的発達理論の中でリビドーが向けられる対象となる人物は主に父親や母親であるとされており、これらの対象を備給とよばれています。また、発達のいずれかの段階で性欲が十分に満たされなかった場合は、それが後に神経症やヒステリー(心身症)の原因となると考えられています。
心理- 性的発達理論の3つ目の段階を男根期とよびます。これは幼児期後期であり、年齢としては4歳~6歳頃となります。この段階では男女ともに男根に対する執着や羨望を基盤とするとされており、性の区別を理解し、同性の親と異性の親への敵意や愛着を抱くことになるとされています。男根期は別名、エディプス期とよばれており、エディプス・コンプレックスという特徴的な状態があるとされています。エディプス・コンプレックスとは、男児の場合は同性である父親、女児の場合は同性である母親に敵意を抱き、同時に男児・女児にとって異性の親に対しては性的な愛着を持つというものです。エディプス・コンプレックスにおいて、男児は父親殺しの願望であるエディプス願望を抱くと同時に去勢不安を抱くとされ、女児の場合はペニス羨望を持つとされています。ちなみに、エディプス・コンプレックスは古代ギリシャの戯曲である「エディプス王」(オイディプス王)に基づいてジグムント・フロイトが提唱したものであり、ジグムント・フロイトはこれが精神分析学の最重要概念の1つであるとしています。
最後に
このように、心理学や精神医学において、父親の概念や父親との関係性が様々な角度から研究されています。

著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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