こころを守る適応機制

みなさんはこころにダメージを受けた時に何をしていますか?

例えば、何かで気を紛らわせたり、忘れようとしたり、なかったかのように振る舞ったりしていませんか?

今回、人がこころにダメージを受けた時に、どのようにして対処しているのかということを書いていきたいと思います。

おそらくみなさんがこころにダメージを受けた時、悲しみ、怒り、恐れなどの不快な感情が出ているかと思います。

このような感情を和らげて心理的な安定を保つために、人は、無意識のうちに様々な形で対処しようとしています。

この心理作用を「適応機制(防衛機制)」といいます。

この適応機制のおかげでこころが壊れてしまわないように守られているんですね。

実際にどのような適応機制があるのかいくつかご紹介したいと思います。

「逃避」

困難な状況や場面を避けたり、他のことに熱中して問題に向き合うことを避けたり、空想の世界に逃げたりすること。

例:試験に落ちてやけ酒を飲むなど、嫌なことは忘れて仕事に打ち込むなど。

「置き換え」

置き換えには「対象を置き換える置き換え」と「衝動を置き換える置き換え」があります。

  • 「対象を置き換える置き換え」:ある人やものに対する感情を他の人やものに表現するもの。
    例:自分は医者になれなかったため、子どもが医者になれるよう教育するなど

  • 「衝動を置き換える置き換え」:対象を変えずに感情だけをすり替えること。
    受け入れがたい感情を抑圧し、正反対の態度や行動を示す反動形成がそれに当たります。
    例:好きな子をいじめる、不安で弱気になっているのに強がって見せる、悲しいのに笑って見せるなど

「投影」

受け入れがたい感情を自分から排除して、相手が持っていると見なすこと。

例:自分は上司が苦手だが、上司も自分を嫌っていると思い込む

「補償」

劣等感をカバーするために他の優れた部分で補うこと

例:勉強が苦手だから得意なスポーツに打ち込むなど

これらは全部無意識のうちに行っています。

みなさんがこころにダメージを受けた時に自分が行っていた行動について少しお分かりいただけたのではないでしょうか。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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