満員電車のストレス

コロナ禍で在宅勤務が急激に増えた時期、通勤電車に乗る人の数が少なく、いつもは満員なのに快適に出社できた!という話を友人から聞きました。
公共交通機関を利用する際の通勤通学時間帯の混雑は本当にイヤなものです。

乗車するスペースに余裕が無くなると、乗車時の環境を自分でコントロールすることが困難となり、ストレスが高まることが判明しています。
人にはパーソナルスペースといわれる縄張り(距離によって4種類に分けられます)があり、他人が常に自分の縄張りを侵害している状態なのでイライラするのも無理はないのかなとも思います。

そんな永遠のテーマともいえる満員電車での通勤通学ですが、満員電車におけるストレスの負荷についての調査結果が発表されています。
かれこれ15年前のものになりますが、イギリスのDavid Lewis博士が調査したもので、ラッシュ時の満員電車に乗った際のストレスは、臨戦態勢に入った戦闘機のパイロットや機動隊の隊員よりも高い―とのことです。
この理由のひとつとして、パイロットや機動隊員は生じるストレスへの対策を講じることができるけれども、満員電車内では何も対策を講じることができないということが挙げられています。

ストレスは健康にも悪影響を及ぼします。
ストレス刺激は脳の視床下部に伝えられ、内分泌系では下垂体と副腎からホルモンが分泌され、心拍数の増加や血圧の上昇、代謝率の上昇、自律神経系では、交感神経系が活性化し心拍数の増加や骨格筋の緊張などが生じます。
自律神経系と内分泌系に免疫系が加わり、心身の恒常性が維持されていると考えられていますが、長期に渡ってストレスがかかると、これらのホルモンが過剰に分泌され、心身の恒常性が崩れてあらゆる疾患の発症リスクが高まります。

最近、満員電車の中での僅かな隙間によいポジション取りをし、携帯ゲーム機でプレイしている学生とおぼしき若者を見かけて、こんな状況の最中でも余裕を持てるように過ごしていきたいと切に思いました。
満員電車組の方もどうぞ1日くらいは休息時間をとり、楽しいと思える時間を作ってみてはいかがでしょうか。

参考資料


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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