街でふと、この匂い、懐かしい!と感じたことはありませんか?
金木犀がつい先日まで香っていましたが、散ってしまい、あと約2か月で2021年も終わってしまう……と気づきました。
金木犀の香りを嗅ぐと、懐かしい気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
また、金木犀でなくとも、日常生活どこにでも匂いや香りで昔の記憶がよみがえったりすることは、よくあることだと思います。
そこで、今日は「こころ検定4級の公式テキスト」の「認知心理学」の範囲でも触れられている、「匂いの記憶への効果」について記事を書いていこうと思います。
先ほどの、金木犀の香りを嗅ぐと、懐かしい気持ちになったりと、嗅覚や味覚によって過去の記憶が呼び覚まされる心理現象のことを「プルースト効果」と呼びます。
フランスの小説家、マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」の中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸した時の香りをきっかけに、幼少期の記憶を思い出したことから、こう名付けられたそうです。
嗅覚は五感の中で唯一、嗅細胞、嗅球を介して、本能的な行動や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に直接つながっているので、より情動と関連づけしやすいためと言われています。
「いい匂い」を感じると、本能で感じた情報は、脳の中で記憶を司る「海馬」という部分の先にある「扁桃」という場所へ送られます。
そこからさらに脳のさまざまな部分へ送られていき、記憶として保存されます。
もちろん、見たことや聞いたことも保存されていくのですが、海馬や扁桃と直接つながっていて、脳のあちこちに保存できるのは嗅覚だけだといわれているのです。
海馬は記憶を呼び覚ます機能も持っていますので、見たことや聞いたことよりも、匂いを嗅いだことの方が記憶を思い出しやすいのです。
匂いや香りには様々な可能性があります!
人間の脳はとても複雑でまだまだ解明されていないこともたくさんあります。
認知症や記憶喪失になってしまった人々の記憶を取り戻す治療でも、プルースト効果は利用できるのではと考えられおり、現在、研究が進められているそうです。
これらの研究で人間の幸福に生かされればと願っています!
参考文献
「香り」を嗅いで、昔の思い出がよみがえることってない?
https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/192/
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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