推し活は新たな心の健康法⁉
近年、「推し活」という言葉をよく耳にします。アイドル、アニメキャラ、俳優、スポーツ選手など、「自分の推し」を応援する活動のことを指しますが、実はこの「推し活」には心理学的に見ても多くの魅力があるようです。
今回は、「推し活」が私たちにもたらす効果などについてご紹介させていただきます。
推し活は「自己拡張」
心理学者アロンの「自己拡張理論」によると、人は成長や刺激を求めて他者と関わります。推しの活動を追いかけたり、グッズを集めたりすることは、推しを通して自分の世界を広げる行為。「推しの成功=自分の喜び」と感じるのは、この「自己拡張」が働いているからです。
推し活がもたらす「幸福ホルモン」
推しの笑顔やライブ映像を見ると、脳内でドーパミンやオキシトシンといった幸福(幸せ)ホルモンが分泌されます。これにより、ストレスが軽減され、気分が高揚し、前向きなエネルギーが生まれます。よく聞く「推しがいる人生は豊かになる」という言葉は、科学的にも裏付けられた現象のようです。
「推し仲間」とのつながりが支えになる
SNSやイベントで同じ推しを持つ人と交流することで、「共感」や「安心感」が生まれます。心理学ではこれを「社会的支援(ソーシャルサポート)」と呼び、心の健康を保つうえで非常に重要な要素とされています。孤独を感じやすい現代において、「推し」を介したつながりは、心の居場所を作る手助けにもなっています。
注意したい「依存」と「現実逃避」
一方で、推し活が生活の中心になりすぎると、経済的・精神的な負担が増すこともあります。心理学的には、これは「報酬系の過剰刺激」による依存傾向とも関連しています。“推し”はあくまで人生を彩る存在。バランスを保ちながら楽しむことが、長く幸せな推し活のコツです。
最後に
いかがだったでしょうか。推し活は、単なる趣味ではなく「自己成長」「幸福感」「つながり」を生む心理的行動で、私たちの心を支える「新しいメンタルヘルス習慣」なのかもしれません。推し活を楽しみつつも、依存や過度な自己投資にならないよう、「自分軸」を持って楽しみましょう。

参考論文・サイト
・推し活意識が幸福感に及ぼす影響:推しの心理的所有感の媒介的作用 上田泰・井上淳子 成蹊大学経済経営論集 第54巻第1号 (2023年7月)
・【ソレドコ】~「推し」で心は満たされるのか。心理学の専門家と探る、推し活の本質~
・【PRTIMES】~推し活はなぜ心を癒す?推し広告の心理的効果を九州大学名誉教授が解説~
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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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