本コラムをご覧のみなさまは、たまたま体調が悪い時に食べた、食べ物で気分を悪くしてしまい、以後その食べ物を見たり、食べたりするとその時の記憶がよみがえり、気分が悪くなるというような体験がありませんか?
今は卒業シーズンですね。例えば、卒業アルバムを見て、その当時のことを思い出したりするように、○○を見たら○○を思い出すという経験は誰しもあるのではないでしょうか。
さて、今回は、「○○を見たら○○を思い出す」メカニズムについて書きたいと思います。
例えば、「卒業アルバムを見て、その当時の学校生活のことを思い出す」というメカニズムには、大脳の側頭葉というところが関与していることが分かっています。
側頭葉の神経細胞(ニューロン)は、記憶する(覚える)ことや思い出す際に活発に働いており、大学の研究グループが行った実験で、記憶課題を実施中のサルの脳活動を計測することで、「ものを見て、ものを思い出す」際に、大脳の側頭葉の神経回路が柔軟に切り替わることを発見しました。
さらに、この神経回路の切り替えがうまくいかないとサルは正しく思い出すことができないことも分かっています。
簡単にまとめると、「ものを見て(知覚)、関連するものを思い出す(想起)」という異なる認知機能での神経回路を測定すると、側頭葉の中でも36野の神経の活動は、ものを見た時(知覚)はTE野(こちらも側頭葉)の皮質層浅層と協調し、関連するものを思い出す時(想起)はTE野の皮質層深層と協調するよう神経回路が切り替わっているということです。
ちょっと話が難しいですね。
今回は、○○を見たら○○を思い出すメカニズムには、大脳の側頭葉が関係しているということを覚えてください。
参考文献
- academist journal 2018年12月17日「何を見ても何かを思い出す」 – サルの脳活動からわかった記憶をささえる柔軟な神経回路」https://academist-cf.com/journal/?p=9255
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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