虫の鳴き声は日本人にしか聞こえない!?

先日、福岡県八女市にある星野村に行きました。
星野村は地内がほぼ山地で、山の斜面を切り開いた茶畑や棚田が多く、今の時期には棚田の稲作が黄金色に輝き、まさに絶景が広がる自然豊かな場所です。
また、標高が高く、人口密度が低いため、星が綺麗に見える場所としてとても有名です。
車から降りて棚田を眺めていると、虫の声も聞こえてきて、さらに秋の雰囲気を感じ楽しむことが出来ました。
その時、ふと、昔聞いた『虫の声』に関する面白い話を思い出したので、今回は皆さんにもご紹介させていただきます。

虫の声に関する面白い話

このお話は東京医科歯科大学の角田忠信教授が、キューバで開かれた国際学会に参加された際、会場の周りで『虫の音』が蝉しぐれのように激しく聞こえているのに、キューバの方達にはその『虫の音』が聞こえていない事に気づき、日本人の耳と、外国人の耳には違いがあるようだと考え研究をされたそうです。
人間の脳は右脳と左脳とに分かれていて、右脳は音楽脳とも呼ばれ、音楽や機械音、雑音を処理し、左脳は言語脳と呼ばれ、人間の話す声の理解など、論理的知的な処理を受け持っており、ここまでは日本人も西洋人も一緒ですが、『虫の音』をどちらの脳で聴くかという点で違いが見つかったそうです。

西洋人は虫の音を機械音や雑音と同様に音楽脳で処理するのに対し、日本人は言語脳で受けとめるため、日本人は『虫の音』を『虫の声』として聞いている、ということをつきとめたそうです。
西洋人は、激しい『虫の音』も、いつもの騒々しい雑音だと慣れてしまえば、意識にのぼらなくなってしまいます。
『虫の音』を言語脳で『虫の声』として受け止めるのは、世界でも日本人とポリネシア人だけに見られ、中国人や韓国人も西洋型を示すそうです。

しかし、日本人を対象とした2007年の研究で、音の評価に関して地域の文化差があり、聴きなれない虫の鳴き声は雑音に聞こえるため、夏の終わりから秋にかけて鳴いている、カンタンの鳴き声をうるさいと感じる人もいたそうです。
鳴いている虫について知っている、あるいは聞いたことがある馴染みの音だと、快適感や親和感を感じるそうです。
全国的に多く生息している虫も地域や種類により鳴き方が変わるため、自分の地域の知っている音だとより快適に感じると考えられるそうです。

最後に

私たちにとって『虫の声』は、季節の変わり目を教えてくれたり、またその場所や雰囲気を、一緒に楽しませてくれるものなのかもしれませんね。

参考サイト


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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