週末は外出を控えているので、録画しておいたドラマをまとめて見る習慣が続いております。
ドラマの中から記事のテーマなどを探したりもするのですが、脳神経外科が舞台となったドラマからヒントを得て、今回は顔の認識について書きたいと思います。
私たちは、どんな人混み中でも友人の顔は認識できますよね。
しかし、人の顔であることは認識できているのに、それが誰の顔なのか判断できない相貌失認(そうぼうしつにん)というものがあります。
親や親しい友人などの身近な人の顔や自分の顔写真を見てもそれが誰の顔なのか分からない場合もあるようです。
これは、顔を識別する側頭葉の紡錘状回(ぼうすいじょうかい)という部位が損傷することで起こるといわれています。
また、顔認知機能は、他の物体認知機能とは独立して脳内に存在しています。
同じように見ているのに、脳の中での処理が違うって何だか不思議ですよね。
物体は、例えば、携帯電話、パソコン、本など部分的な特徴があれば知覚できます。
しかし、人の顔は、目・鼻・口のパーツだけ見ても、その人が誰なのか知覚するのは難しいですよね。
なぜ顔の認識ができているかいうと、脳が、個々のパーツの部分的処理よりも目、眉毛、頬骨、鼻、口、肌の色などの顔を全体として捉えて処理を行っているからなのです。
★「顔の心理学」
顔の認識には顔の全体的な情報が重要であることは、倒立顔効果からも分かります。
倒立顔とは、逆さまになった顔のことで、倒立顔効果は顔が逆さまになっていると、それを正確に認知することが難しいという効果です。
これはサッチャーの錯視が有名で、イギリスのサッチャー元首相の写真を、目と口を切り抜き、逆さに張り付けられたもの倒立状態で見ると、その異常な顔に気がつきにくく、顔つきや表情を適切に把握することが難しいというものです。
倒立状態であると顔のパーツの配置が通常と違うことから全体的処理が阻害されているため認知が難しくなります。
皆さんも、写真を180度回転させて見てみてください。
どのような表情をしているのか把握できますか?
参考文献
創元社 「心理学ビジュアル百科 基本から研究の最前線まで」 越智啓太編
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
こころのサイエンス編集部の紹介はこちら
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