風呂の日と心理学の関係

風呂の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか?

毎月26日は「風呂の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。毎月26日は「風呂の日」に制定されています。これは、東京ガス株式会社が1985年に制定したものです。26日を「ふ(2)ろ(6)」の語呂合わせとなることから、この日が選ばれています。

東京ガスはお風呂をもっと楽しく豊かに気持ちよくしたい、という企業で集まって研究・情報発信を行う風呂文化研究会を1990年に発足するなど、積極的に風呂についての社会的な活動を実施しています。風呂文化研究会では、具体的なものとして、世界に誇れる日本文化の一つである風呂について見つめ直し、日本の風呂の魅力を分析するなどの活動を実施しています。さらには、風呂の日に関連して、毎月26日に入浴料金の割引やお得な回数券の販売、プレゼント企画などのイベントを実施する公衆浴場や温泉施設などもあります。

そして、毎月26日以外にも「ふ(2)ろ(6)」の語呂合わせから、お風呂の日(2月6日)、よい風呂の日(4月26日)、源泉かけ流し温泉の日(5月26日)、露天風呂の日(6月26日)、夏風呂の日(7月26日)、パパフロの日(8月26日)、いい風呂の日(11月26日)、酒風呂の日(春分・夏至・秋分・冬至のそれぞれの日)などの風呂や温泉などに関する記念日が制定されています。

では、風呂と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

休養とメンタルヘルス

メンタルヘルスにおける予防の重要な要素として休養があります。休養の「休」とは、心身の疲労をとりエネルギーを充電することを指します。そして、休養の「養」とは、趣味や楽しみなどを通して豊かで余裕のある心持ちにすることを指します。

メンタルへルスの予防では「休」と「養」をバランス良く取り入れていくことが重要となります。特に「休」の部分は心身の健康にとって万能の予防対策であり、なかでも睡眠は非常に重要かつ、毎日の生活に密着したものとなります。 睡眠不足や睡眠障害がもたらす影響として、疲労感や日中の眠気などが挙げられます。これらの影響により、仕事の作業効率の低下、情緒不安定、行動や判断のミスなどにつながります。

また、睡眠不足や睡眠障害は労働災害、交通事故の背景でもあり、社会問題化しています。そして、高血圧・糖尿病・心臓病・脳卒中・うつ病のリスクを高める原因にもなります。そこで、毎日の睡眠を快適なものにしていく必要があります。ここでポイントとなるのが入浴です。人間は眠りに入る過程で体温が約1度低下し、深い眠りに入っていきます。そのため、入浴で体温を高めに保つと、入眠時の体温変化が急になり、眠気を強く感じることになります。従って、入浴は快適な睡眠の重要なきっかけとなるものであり、メンタルへルス的にも非常に良い効果を持っているといえます。

風呂・入浴と自律訓練法の関係

また、心理療法やリラクゼーション技法の1つである自律訓練法も風呂・入浴と関連する部分があります。自律訓練法の“自律”とは、自律神経のことであり、自律神経を“訓練によってコントロールする”というものになります。自律訓練法はリラクゼーション技法として非常に有名であり、科学的根拠に基づいた研究結果も豊富にあります。

自律訓練法の内容を簡単にまとめると「気持ちが落ち着いていて、腕と脚が重く感じ、そして温かい。心臓が静かに動いていて、楽に呼吸ができる。お腹のあたりも温かいが、首から上の頭の部分は涼しくて心地いい」ということになり、簡単に言うと「露天風呂でお湯につかって、ゆったりと、くつろいでいる感じに近い」に近い状態です。従って、しっかりと入浴をすることは、副交感神経が活性化させることができ、その状態を疑似的に作り出すのが自律訓練法なのです。

最後に

このように、風呂や入浴も心理学や精神医学の観点から、ヘルスケア、メンタルへルスにおいて重要な役割を担っていることが判明しているのです。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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