成績の悪い子どもは怠けているのか

みなさんは学生時代、テストの点数は良かったでしょうか。あまり良くなかった(筆者もです!)という方は、元々テスト勉強をしなかった!という方やすごく頑張ったけど報われなかった…という方もいらっしゃると思います。

実は、知能指数(IQ)と学力(成績)には強い相関があるといわれています。
しかし、中には知能指数と学力にばらつきがみられる場合があります。知能指数に対して大幅に学力が高い児童(生徒)のことをオーバー・アチーバー、逆に知能指数に対して大幅に学力が低い児童(生徒)のことをアンダー・アチーバーとよびます(知能指数と学力の釣り合いがとれている児童(生徒)はバランスド・アチーバーといいます)。
アンダー・アチーバーは脳の機能異常による知能や学力の低下がみられる場合は除きます。

オーバー・アチーバーは「成績がよければよいだけいいじゃない」、アンダー・アチーバーは「もっと頑張れるはず、怠けるな」などと言われてしまいがちですが、その裏には問題が潜んでいることがあります。
オーバー・アチーバーの場合は、自立心や対人関係等の社会性、学習意欲の低下、アンダー・アチーバーの場合は、自尊感情などに影響が表れる場合があるようです。
また、学力が低いことが自身の努力をしなかったことが起因する、学習を継続することが困難だともいわれています。

かといって、周囲が努力しなかったと責めるのではなく、その背景を考える必要があります。
アンダー・アチーバーの原因として、身体的な障がい、神経発達症、本人の性格・情緒、家庭環境、学校環境、過去の経験が不十分である、などが挙げられます。

「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」を掲げ、全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。

基礎的・基本的な知識・技能等や、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、探究において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個性化」も必要である。

令和3年答申p.17,教育課程部会における審議のまとめp.2

これらの特性をもつ子どもたちへの早急な支援も待たれています。

【参考書籍・参考サイト】

  • こころ検定3級公式テキスト 教育ナビゲーション株式会社 2017
  • 心理学検定 基本キーワード[改訂版] 日本心理学諸学会連合 心理学検定局 実務教育出版 2018
  • 文部科学省 学習指導要領「生きる力」2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01491.html#a01

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
こころのサイエンス編集部の紹介はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!