自分のこころの守り方・適応障害

人間の体はホメオスタシス(恒常性)によって保たれていることは以前のコラム「ストレスに対する“適応”と“不適応”」でご説明していますが、不適応状態が続くとどうなるでしょうか。
結果としては、心身に異常をきたしてしまうことがあります。
今回はその中でも、「適応障害」についてご説明します。

適応障害とは

「適応障害」とは、仕事、家庭などの社会生活場面において、特定の事柄や出来事に対して非常に強いストレスを感じたことにより、抑うつ気分や不安を伴う「情緒的障害」や、粗暴行為、規則を守れない等の反社会性行為を伴う「素行の異常」が現れるこころの病気です。

DSM-5では、はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから3ヶ月以内に情動面または行動面の症状が出現し、そのストレス因またはその結果が終結すると、その症状が6ヶ月以上持続することはないと定義されています。

ストレス因がはっきりしているため、その因子を取り除けば次第に症状は回復することが多くみられますが、その間にも適切な治療(薬物治療)やカウンセリングを受けたり、環境を整えたりすることも重要です。

適応障害はうつ病と似たような症状が現れますが、うつ病は抗うつ剤を用い、かつ長期的な治療が必要になることが多いため、適応障害とは経過や治療方法が異なります。

適応障害はどの年代でも起こるとされ、有病率は全人口の2~8%程度、精神科外来患者の10~30%といわれています。
ちなみに男女比は1:2で女性の方が多いとされています。

ストレスの受け取め方は個人差があり、他の人にとっては受け流せるようなことでも、自分にとっては簡単に割り切れないこともあります。
他の人がなんと言おうと、自分の心では受け止めきれないな、辛いなーと感じることが多くあるようなら、自分を責めたりせずにまずは信頼のできるお医者さんなどに相談してみてくださいね。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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