優しい虐待ってなに?

皆さん「優しい虐待」という言葉を聞いたことはありますか?一般的に「虐待」と聞くと、暴力や暴言、ネグレクトなどをイメージしてしまいますが、この「虐待」という言葉に真逆の「優しい」という言葉が使われており、筆者は初めてこの言葉を知った時混乱してしまいました。今回は「優しい虐待」とは何かご紹介させていただきます。

優しい虐待とは?

簡単に説明すると「優しい虐待」とは、子どもの意思は関係なく、保護者の価値観を押し付け、子どもを動かそうとすることをいいます。例えば、親が子どもの将来を思い、「〜しなさい」と言ってしまう、実はこう言った過保護な言動も「優しい虐待」に当てはまるようです。

優しい虐待といわれている言動・行動

  • 子どもが出来ることでも、保護者がすぐに口だし・手出しをする
  • 子どもが何かに挑戦する際に口だし・手出しをする
  • 子どもが失敗したり困らないよう、保護者が先回りし未然に防ぐ・手助けする
  • 子どもが苦手な事を保護者が代わりにやってしまう
  • 子どもが考えているときに、すぐに保護者の意見やアドバイスを言う
  • 子どもと適度な距離を保たずに常に一緒に行動する
  • 子どもが欲しがったものをすぐに買い与える 等

上記のような行動や言動、いわゆる過保護な接し方や過干渉が優しい虐待と言われています。

優しい虐待を受けた子への影響

優しい虐待(過保護・過干渉)といわれている環境で育った子は、自分の存在意義が分からなくなり、自尊心が低く、不安が高い傾向があるそうです。また、保護者が子供の決定に口を出すことで、慢性的なストレスに繋がり、子どもの自立を妨げる可能性もあるそうです。

優しい虐待に陥りやすい親の特徴

  • 親がまじめで優等生だった、また教育熱心
  • 勉強や習い事などに積極的な家庭
  • 親が厳しいしつけや教育をされていた
  • 親自身が、自分の親とうまくいっていない家庭
  • 親自身が、自分の親の言う通り生きてきて、親のいうことは絶対だと思っている家庭

まとめ

いかがだったでしょうか?

私自身、長子で初孫だったこともあり、幼い頃から周りの大人にかなり甘やかされ、過保護に育ってきました。今回優しい虐待について調べていくうちに、私自身も「○○しなさい」「○○の方が良いと思うよ」など、幼少期は親の意見に従う事が多かったと思います。母に話を聞くと母自身も長子で、同じように祖父母から過保護・過干渉に育てられてきた様でした。実はこの「優しい虐待」は、世代間伝達(親自身が受けてきた教育をそのまま子どもに向けて繰り返してしまうということ)があることも知られています。

保護者は子どものためにと思い無意識に行っていることですが、子どもの失敗を最後まで見守り、子どもの意思を尊重し、子どもを否定しないことが大切ではないでしょうか。

また今、自分が優しい虐待をしてしまっている、優しい虐待を受けていて苦しんでいる方は、一人で抱え込まず、カウンセラーに相談したり専門的な治療を行う医療機関に相談しましょう。

参考文献

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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