ロハスの日と心理学の関係

ロハスの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

6月8日は「ロハスの日」の日

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。6月8日は「ロハスの日」に制定されています。これは株式会社スーパーホテルが制定したものです。日付の由来は「ロ(6)ハ(8)ス」の読む語呂合わせからとなっています。そもそも、ロハスとは英語の「Lifestyles of Health and Sustainability」の頭文字をとった略語(LOHAS)であり「健康的で持続可能な生活様式」という意味であり、健康と地球環境に対して高い意識を持つライフスタイルを指す用語です。ロハスの概念は1990年代後半にアメリカの社会学者らが全米10万人以上を対象にした大規模な調査研究において、「Traditionals(伝統派)」「Moderns(近代派)」に続く第3の市民層「LOHAS」として提唱されたものです。

LOHASのライフスタイルで生活する人々は健康や環境だけでなく、政治・経済・文化・地域社会・平和など世界的な課題への意識も高いとされており、自己実現や自己表現など自分にも高い関心を持つとされています。日本やアメリカ、ヨーロッパなどでは、国民の20~30%がLOHASのライフスタイルを取り入れているとされており、マーケティングの観点から注目されています。

では、ロハスと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

健康心理学における「こころの健康」の観点とは

心理学の応用分野に健康心理学というものがあります。公式に健康心理学が確立されたのは、1973年にアメリカ心理学会(APA)に健康研究特別委員会が設置されたことがきっかけとなっています。それまでの健康と病気の問題に関する心理学的な研究はまだ不十分であり、健康行動の理解と改善に心理学の諸原理と方法を応用すべきではないだろうか、という主旨の勧告が行われました。こうした経緯を背景にして、1978年にアメリカ心理学会(APA)では、第38部会として健康心理学部会が成立し、1980年には健康心理学を「健康の推進・維持,疾病の予防・治療,健康・疾病・機能不全に関する原因・診断の究明、およびヘルスケア・システム(健康管理組織)・健康政策策定の分析と改善等に対する心理学領域の特定の教育的・科学的・専門的貢献の全てを指す」と定義しています。健康心理学の領域には,健康に関する心理学の基礎および応用研究といった領域に加え、ヘルスケア・サービス・健康政策・産業組織の健康管理の問題など独自の研究領域が加えられています。

 日本に健康心理学会が誕生したのは1988年であるとされています。健康心理学において特に注目すべきは「こころの健康」という観点を非常に多角的に検討しているということでしょう。たとえば、少年非行や感情障害について、文化的・経済的要因を検討しているという点は注目に値するのではないでしょうか。非行や感情障害は精神的な問題によるものとして捉え、それがストレスなどだけではなく、地域性や社会制度、文化、そして個人および国の経済状態が「こころの健康」に強く影響を及ぼすという考え方は、治療・支援において重要な要素となっています。この観点は、法律や制度の確立(改訂)や社会保障の見直しなど様々な形で私たちの生活に影響を及ぼしています。現在の日本における問題である自殺者数の多さや、高齢化社会の問題、医療費負担増加の問題などにも「心の健康」が関係しており、健康心理学の研究成果が問題の改善・解決に寄与しているのです。

最後に

このように見ていくと「健康」心理学と「臨床」心理学の違いが見えてくるのではないでしょうか。健康心理学は、臨床心理学が主として精神の障害と健康に関連する諸問題に焦点を当ててきたのに対して、身体をも含む、より広範囲の健康と疾病・障害に対する心理的過程の研究を対象としています。このため、健康心理学は、生物学・疫学・公衆衛生学・行動医学などの医学領域をはじめとして、行動科学・教育学・政策学などを含む学際的なアプローチが不可欠となっています。

 日本には、日本健康心理学会という学術学会があり、精力的に研究活動が実施されています。また、こころ検定3級の第4章でも健康心理学について概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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