発明の日と心理学の関係

発明の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

4月18日は「発明の日」

日本では、365日のすべてに何らかの記念日が制定されています。4月18日は「発明の日」とされています。これは、1885年4月18日に現在の特許法の前身となる専売特許条例が公布され、日本の特許制度が始まったことがきっかけです。1954年には、特許庁と科学技術庁(現:文部科学省)が産業財産権制度の普及・啓発を図ることを目的として、「発明の日」を制定しました。なお、特許法において発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度のもの」と定義されています。

1959年に現在の特許法が成立しました。この特許法は、発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、ひいては産業の発達に寄与することを目的としています。その後、特許法は数度の一部改正を経て、現在に至っています。

さらに1960年には、科学技術について広く一般の関心と理解を深め、科学技術の振興を図るため、2月26日の閣議了解に基づき、「発明の日」を含む一週間を「科学技術週間」と定めました。

特許の出願数は、毎年十数万件にのぼります。しかし、申請が許可されるのはそのうち約3割のみで、商品化されるのは、さらにその約2割程度にとどまります。つまり、仮に10万件の特許出願があったとしても、実際に商品化されるのは約6,000件ということになります。では、発明と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

心理学でサービスは進化する

心理学は工学やマーケティングとは異なり、直接的に商品やサービスの開発を目的としないケースが多い分野です。また、物理的な形のある製品を生み出すというよりも、心理学の知見に基づいた、ちょっとした工夫や改善策といったサービス設計に活かされる傾向があります。

まず、学習心理学の研究成果によって開発されているのが、さまざまな「継続」を促進するサービス設計です。具体的には、フィットネスアプリなどにおけるゲーミフィケーションやオペラント条件づけの工夫が挙げられます。たとえば、連続ログインボーナスやバッジの獲得、全体の進捗を明確に示す進捗バーのデザインなどです。これらは、学習心理学の基礎理論である「強化子が途切れることへのネガティブな感覚」や「損失回避」といった要素が強い動機づけとなり、サービス利用の継続を促します。

また、知覚心理学の研究成果も、商品の発明や開発に役立てられています。たとえば、ノイズキャンセリングヘッドホンは、「聴覚マスキング」という知覚心理学の知見を活用した製品です。これは、特定の周波数の音を重ねることで、本来は聞こえるはずの音が聞こえなくなるという聴覚の仕組みを利用し、不快な騒音を感じにくくするものです。

記憶と未完が行動を導く

さらに、認知心理学の知見もサービス設計に幅広く活用されています。たとえば、学習ソフトや単語帳アプリには、記憶に関する認知心理学の研究成果が活かされています。心理学者エビングハウスによる記憶研究では、人が覚えた情報を忘れていく過程に「忘却曲線」と呼ばれる現象が確認されています。そこで、忘れてしまいそうなタイミングを逆手に取り、その時点で復習を促すメッセージを表示するというアプローチが採用されています。

加えて、認知心理学における「ツァイガルニク効果」を活用したサービスも存在します。ツァイガルニク効果とは、最後まで完了した出来事や経験よりも、未完成・未完了の出来事や経験の方が、より強く記憶に残りやすいという現象です。これを活用することで、SNSにおけるプロフィール入力を最後まで実行させやすくなります。具体的には、「プログレスバー」と呼ばれる仕組みにより、プロフィール入力や作成が全体の何%まで進んでいるかを常に確認できるようにします。これにより、「まだプロフィールが完成していない」という状態をユーザーに強く意識させ、自然と最後まで入力を進めようとする行動を促すことができるのです。

最後に

このように、心理学の研究成果は、さまざまな形で新しい発明やサービスとして活かされています。


著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部

 

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