去る10月2日、こころ検定の実施団体であるメンタルケア学術学会の第20回学術大会が開催されました。
今回も前回と同じくオンラインでの開催のため、筆者もガッツリ1日参加してきましたので今回は特別にリポートします!
講演内容
今回のテーマは「心理学の早期教育の可能性~教育と体験~」ということで、まずは奈良県立医科大学教授 梅田 智広先生による「健康意識向上における教育の重要性~様々な実証試験を通じ、学んだこと~」からスタートです。
日本における医療費は年々右肩上がり&医師不足や医師の偏在(無医村など)という背景も考慮し、ひとりひとりの健康への意識づけ+行動変容を促すための実証実験(センサーやウエアラブルウォッチで行動を計測し、健康的な活動をすれば電子マネーで還元!)や介護施設などに設置された、足でペダルをこがなければ玉が出ないパチンコ台などといったユニークな取り組みなどをご紹介されていました。
続いて、S&P心理臨床オフィス 代表社員 今関 仁智先生による「こころ検定による心理学の早期教育-高校における「科学的知識」と「グループワーク体験学習」を通じた心理学教育-」です。
実際に行われているクラーク国際記念高等学校 横浜キャンパスでの授業風景をご紹介されていました。
コロナ禍でオンラインでも授業を実施されており、自主的にグループワークに取り組む生徒も多く、この授業を通じて心理学にさらに興味をもち、卒業後は心理学科を目指すという声もあるそうです。
お昼休憩をはさんで、湘南工科大学工学部 総合文化教育センター 兼教職センター准教授 北見 由奈先生の「VUCA時代を⽣き抜くために求められる⼼理教育とは」です。
VUCA(ブーカ)とは“誰も予測できない先行き不透明の状態“のことをいいます。
この時代を生きていくために必要な4つのスキル(実行力・柔軟性・多様性・思考力)やアメリカ発祥の心理教育プログラム「SELフレームワーク」についてお話しいただきました。
これは
- 自己理解
- 発達に応じたマネジメント
- 集団での立ち位置
- 伝え方・断り方の工夫
- 責任をもった行動
について学び、家庭や地域社会で育み、それを家庭や地域社会へ還元するというものです。
講演後
先生方の講演後は、専門家によるこころ検定の試験結果の統計解析やメンタルケア心理専門士の実務内容(カウンセリングの進め方など)のご紹介、心拍変動バイオフィードバック療法(うつの方への自律神経系へのアプローチ方法)の事例研究発表など盛りだくさんでした。
終了後は登壇された先生方も交えてのオンライン懇親会が行われたようです。
最後に
学生時代からもう遠ざかっている身としては、この長丁場、かなり脳が糖分を欲していましたが(横文字も多く登場していました……)、知らないことを知ることは純粋に楽しかったですし、今回参加された方の中には、これを機に何かをはじめてみようだとか、勉強しなおそうだとか、新たな決意をされた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
今回、参加を見送られた方も次回はぜひ参加されてはいかがでしょうか。
著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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