そろばんの日と心理学の関係

そろばんの日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

8月8日は「そろばんの日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。8月8日は「そろばんの日」に制定されています。これは京都府・京都市に本部を置く社団法人・全国珠算教育連盟が1968年に制定したものです。日付の由来はそろばんを弾く音「パチ(8)パチ(8)」の語呂合わせからきています。この日はそろばんの普及と優れた機能をアピールすることが目的となっています。そろばんを学習することで、かけ算・わり算の計算力が向上するだけでなく、集中力や忍耐力の向上にもつながり、算数の学習に加えて、日常生活や将来のためにも大いに役立つ力が身に付くとされています。また、毎年、全日本珠算選手権大会も開催されています。

では、そろばんや算数、数学と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

心理学は文系?理系?

一般的に「心理学」と聞くと、文系の学問であるというイメージがあるかと思います。心理カウンセラーを目指す方や、心理専門職を目指す方が大学で進学するのが心理学科・心理学部です。では、大学の心理学専攻とは、文系・理系という区分で考えると、どのような位置づけになるのでしょうか。日本においては、心理学専攻は文学部や教育学部、社会学部などの文系の学部に含まれることが非常に多いです。また、最近では人間科学部などのような、少し特殊な位置づけの学問領域に含まれることも増えています。一方で、世界に目を向けると、欧米では心理学専攻は理系の学部として扱われている場合が多いです。

そして、実は心理学では算数や数学の知識が非常に重要となっています。たとえば、大学の心理学専攻の1年次の必修授業として、心理統計学があります。統計学は数学に分類されるものであり、心理学において扱うデータの分析・解析のために重要な知識となります。また、大学の2年次・3年次には基礎実験や研究法の授業が必修となります。基礎実験は実際に実験を行ってデータを収集します。そして、得られたデータを心理統計学の知識に基づいて分析し、レポートを書いて提出するという内容の授業です。このような数理データを扱うという意味でも、心理学が数字を扱うデータサイエンスであるということがいえるかと思います。

数理心理学とは

心理学には数理心理学という分野があります。これは心理学者のフェヒナーが精神物理学における対数法則の考え方を提唱したことをはじめとして、エビングハウスが記憶の研究において数学的に「物事を忘れていく過程」を忘却曲線として提示したり、サーストンが行動の学習・獲得を数学的に研究することで学習曲線という考え方を提唱したことなどがきっかけとなっています。。数理心理学は人間の知覚・認知・学習(行動)などの心理学の各領域における構造を数学的表現により理論化したものです。

また、心理学の様々な実験・調査によって得られたデータを対数関数・指数関数・微分方程式・積分変換・行列代数・確率分布・確率過程・線形・非線形などを用いて分析して理論を構成していきます。そして、統計学についても重要な要素となっており、非ユークリッド幾何学・カタストロフィ理論・ファジー理論なども活用されています。さらには、心理学と経済学が融合した経済心理学(行動経済学)や認知心理学における情報処理過程や意思決定などの分野にも数理心理学が重要な影響を与えています。

最後に

文系の学問であると思われがちな心理学ですが、基礎的な勉強においても数学の要素があり、さらには数学に特化した心理統計学や数理心理学という領域も存在しているのです。実は心理学や心理カウンセリングもデータサインエスであり、メンタルヘルスにも数学的な考え方が重要なのです。

従って、心理カウンセラーの国家資格である公認心理師になるためにも、こころ検定1級・こころ検定2級においても、数学や統計的な知識は必須のものとなっているのです。


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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