「令和」改元の日と心理学の関係

「令和」改元の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

5月1日は「令和」改元の日

 日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。5月1日は「令和」改元の日に制定されています。これは、2019年のこの日から元号が令和になったことが由来となっています。この「令和」という元号は日本に現存している最古の和歌集である万葉集から引用されています。

 また、令和への改元はOA化、インターネット化によって、新元号への対応準備の期間を確保する必要性から、史上初めて新元号が改元の1ヵ月前に事前公表されることとなりました。なお、明治(M)・大正(T)・昭和(S)・平成(H)というこれまでの元号の頭文字と同じになる元号は使用できないため、Rが頭文字になる令和が選択肢となっており、さらに「令」の漢字が元号に使用されるのも史上初となっています。

では、令和時代と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

労働安全衛生法改正「ストレスチェック制度」

 2019年5月以降に心理学の分野で様々な出来事がありました。特にメンタルへルス分野に関して、法律の改正や制度の改訂などがありました。

 ストレスチェック制度などについて定めている労働安全衛生法は2019年に改正されました。労働安全衛生法は最低の労働条件基準を定める取締法規であり、違反した場合、一定の範囲で刑事罰の対象となるもので、1972年に制定されました。2019年の改正では、企業・事業所における長時間労働に対する面接指導の強化が定められました。また、企業・事業所における産業医の権限が強化され、より独立性や中立性が強化されることになりました。

 いわゆる「サブロク協定(36協定)」がについて定めている労働基準法は職場における労働者の安全と健康を確保することを目的としており、快適な職場環境の形成を促進するための法律です。メンタルへルス・マネジメントに関わる労働基準法改正の変遷としては、2019年に時間外労働にかかる罰則付き上限規制が新たに設定されています。

 労災保険法(労働者災害補償保険法)も2019年に改正が実施され、労災認定基準の検討・見直し、複数就業先の負荷を総合的に評価、最新の医学的知見等による認定基準について改正が行われました。  労働施策総合推進法では、メンタルへルスに関連する内容として、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることを事業主に課すことを定めています。このパワハラ防止については2019年の改正から規制がスタートとなり、正式な施行は2020年からとなっています。また、最初は対象を大企業・上場企業に限定したものとなりますが、2022年からは中小企業についても対象となります。

働き方改革

 2002年に施行された過重労働による健康障害防止のための総合対策では、2019年に働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律を受けて改正されました。この改正で事業者(企業・事業所)が講ずべき措置として、時間外労働・休日労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、労働時間等の設定の改善、労働者の健康管理に係る措置の徹底が定められました。なお、この改正は最初は対象を大企業・上場企業に限定したものとなりますが、2020年からは中小企業についても対象となります。

 2023年には心理的負荷による精神障害の認定基準の改正が実施されています。この改正において、業務による心理的負荷評価表の見直しが実施され、顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(いわゆる、カスタマーハラスメント)場合や感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した場合が心理的負荷に含まれることになりました。また、心理的負荷となるものとして、パワーハラスメントの6類型すべての具体例および性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を含むことが明記されました。さらに、精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲の見直しも実施されています。この見直しにおいて、悪化前おおむね6か月以内に特別な出来事がない場合でも、 業務による強い心理的負荷により悪化したときは、悪化した部分について業務起因性を認めることとなりました。

最後に

このように、心理学やメンタルへルスの分野において、令和以降(2019年以降)に、様々な変化があり、今後も、法律の改正などを中心にストレスチェックや健康経営などに関する改善が進められていくと考えられます。


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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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