恋の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
7月7日は「恋の日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。7月7日は「恋の日」に制定されています。これは、2008年の7月にユニバーサルミュージック合同会社からリリースされた恋愛を応援するコンピレーションCDである『恋のうた』がきっかけとなっています。7月7日は七夕でもあり、これを「遠距離恋愛の元祖」である織姫と彦星が一年に一度再会することができることとも関連し、全ての恋する人を応援する日にとしたいという思いから制定されたものです。
ちなみに『恋のうた』には、青山テルマ feat. SoulJaの「そばにいるね」や倖田來未の「愛のうた」、DREAMS COME TRUEの「何度でも」など、女性アーティストの恋愛に関する大ヒット曲が収録されています。
では、恋愛と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
社会心理学における「恋愛」研究について
恋愛は人間の心理が関係するものであり、なおかつ、2人以上の人間が関係するものであると考えることができます。従って、心理学の中でも特に社会心理学において、恋愛に関する研究が実施されることが多いです。
恋愛は相互のロマンティックな愛情をおもな基盤として成立している対人関係と定義されています。従って、あくまで他者に対する感情が恋愛であるということになります。恋愛は結婚の前段階として、配偶者選択の重要な過程として存在しており、実際の恋愛から結婚へ発展することも多いです。ただし、最近では結婚とは無関係に恋愛それ自身を目的とする交際も多いという文化的な状況もあります。恋愛中のカップルは、デートとよばれる恋愛行動の中で、身体的接触・排他性・熱中などの特徴的な行動パターンを示すことが多いとされています。このような恋愛の成立には、年齢・パーソナリティ・対人的環境・対人魅力などが影響を及ぼすと考えられています。
また「恋愛」と「愛」は似ているようで厳密には区別できるという考え方があります。そして、心理学的に愛と恋愛の定義を明確に分類するための心理検査も開発されています。心理学者のルビンは、好意(liking)と愛情(romantic love)とを強度の違いとしてではなく、質的に異なったものであるとして捉え、それぞれを測定するための尺度を開発しており、これは愛情尺度とよばれています。愛情尺度は愛情と好意ともに9段階で13項目の質問で構成されています。ルビンは、好意は対象人物を好ましく評価すること、対象人物に対する尊敬し、対象人物が自分と類似していることから構成されるとしています。また、ロマンティックな愛情は、対象人物に対する親和と依存の欲求、対象人物の幸福を援助しようとする傾向、排他性と熱中性とから構成されているとしています。
恋愛は社会的に制約されたり、禁止されることも多いものです。特に、恋愛中のカップルは、親から反対・妨害されることも多いです。ただし、このような恋愛関係の妨害を経験したカップルほど相互の愛情が高まることが見出されています。これはロミオとジュリエット効果とよばれています。心理学者のドリスコルらの調査によれば、恋愛関係の進展度と親など周囲の反対の強さとの間には正の相関があり、6~10カ月後の追跡調査でも、反対の強かった関係ほど進展するという結果が得られています。このことから、逆境の恋ほど燃えやすいという仮説が提唱され、ロミオとジュリエット効果とよばれています。しかし、実はこの研究結果は、後の研究ではあまり支持されていないという事実もあります。
恋愛は「相手」というものが存在しており、いかに相性の良い相手を見つけることができるかという問題があります。心理学者のウォルスターらは、恋愛関係に関する仮説としてマッチング原理というものを提唱しています。初期のマッチング仮説では、恋愛関係は容貌の望ましさが釣り合った男女間ほど進展しやすいというものでした。その後、男性の社会的地位と女性の美貌などのような異なった要因間の釣り合いについても成立するという仮説へと変遷しています。また、恋愛相手の選択段階ではマッチングはあまり成立しないが,実際に交際しているカップルにおいてはマッチングが認められるという報告が多いとされています。
最後に
このように、恋愛についても、心理学では様々な観点から研究が進められているのです。

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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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