福の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
12月29日は「福の日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月20日は「道路交通法施行記念日」の日となっています。これは、1960年12月20日に道路交通法(道交法)が施行されたことがきっかけとなっています。この日は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることが目的となっています。
では、道路や交通と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
幸福感の科学が示す人生の質
心理学において、幸福感とは一時的なもの快楽や喜び、楽しいなどの気分とは異なり、主観的幸福感(SWB)や心理的幸福感(PWB)として定義され、様々な角度から研究が進められています。
主観的幸福感(SWB)は生活満足度(主に認知的側面に基づくもの)とポジティブ感情(ポジティブな感情の多さ)とネガティブ感情の少なさ、という3つの側面から構成されています。そして、幸福感とは日常生活におけるポジティブ感情の経験の頻度が高く、ネガティブ感情の経験の頻度が少なく、全体として自分の人生に満足している状態と定義されています。
幸福度ランキングが語る現実
続いて、心理的幸福感(PWB)は生きがいや自己成長などで構成されており、自律性・環境制御力・個人的成長・他者とのポジティブな関係・人生の目標・自己受容という6つの次元で構成されています。従って、心理的幸福感(PWB)とは“より良く生きている”程度を示す概念です。なお、幸福感については、いわゆる国勢調査や国際的な大規模調査などによって、世界各国で測定・評価が実施されています。毎年、国連が世界的幸福度ランキング(World Happiness Report)が実施されています。これは主観的幸福感(SWB)について、0〜10点で回答するものとなっています。最新の2024年の調査結果では、1位がフィンランドで平均幸福度は7.7ポイント、2位がデンマークで平均幸福度は7.6ポイント、3位がアイスランドで平均幸福度は7.5ポイントとなっています。なお、日本は47位で平均幸福度は6.0ポイントとなっています。
幸福度については、心理学の中でも経済心理学(行動経済学)の観点からも研究が進められています。一般的に年収が多い方が幸福感は高いと感じられるはずだと思う方は多いかと思います。しかし、アメリカで実施された研究の結果、年収が約7.5万ドル(約1,100万円)を超えた段階で、幸福感は頭打ちになり、それ以上年収が増加しても、幸福感は上昇しないことが判明しています。ただし、幸福感の上昇は止まるものの、年収が増加すればするほど、生活に対する満足度は増加し続けることが判明しています。従って、幸福感と生活に対する満足度は必ずしもイコールではなく、金銭的・経済的な豊かさは生活を満足させる力は強いものの、幸福感への影響力には限度があるということになります。
感謝と親切が幸福を育てる
社会心理学や発達心理学の観点からも幸福感についての研究が実施されています。85年以上の追跡研究によって、幸福で健康な人生を送る最大の要因は対人関係の質であるということが判明しています。逆に孤独は寿命を縮める原因となり、ストレスと関連の強いホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させることが分かっています。
では、幸福感を高めるには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。これも心理学に関する研究で感謝をする習慣があると幸福度が増加することが判明しています。誰かに対して感謝したいことを日記に書くということを週3回のペースで習慣化した人は幸福度が約25%増加し、睡眠や免疫機能も改善したという結果が出ています。また、認知行動療法の新しい手法であるマインドフルネスも幸福度を増加させる効果があることが判明しています。さらに、他者への親切な行動の実施も幸福度を増加させることが判明しています。社会心理学における利他的行動を実施することが幸福度増加と関係しており、具体的には寄付やボランティアなどを実施することで幸福度が増加することが判明しています。
最後に
このように、心理学では幸福感についても、様々な角度から研究が進められているのです。

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この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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