乳酸菌の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
毎月23日は「乳酸菌の日」
日本では365日のすべてに何らかの記念日が制定されています。毎月23日は「乳酸菌の日」に制定されています。これは、乳酸菌飲料などの飲料・調味食品・保存食品の製造・販売を行うカゴメ株式会社が制定したものです。日付の由来は「に(2)ゅうさん(3)」(乳酸)の語呂合わせからきています。この日は、体に良い乳酸菌を活用した商品で元気になってもらうことを目的としています。また、乳酸菌を活用した商品をアピールする日でもあります。
そもそも乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を作り出す細菌の総称であり、ヨーグルトや味噌、漬物などの発酵食品の製造に利用されています。腸内環境を整えたり、免疫機能をサポートしたりする働きがあるとされています。乳酸菌は単一の菌種ではなく、数百種類以上が存在し、丸い形状の乳酸球菌や棒状の乳酸桿菌など、さまざまな形状のものがあります。
乳酸菌の主な身体的働きとして、腸内を酸性に傾けて悪玉菌の増殖を抑え、便通改善や美肌効果をもたらすことが挙げられます。また、小腸の免疫細胞に働きかけて免疫力を高めることで、風邪やアレルギーの予防につながるとされています。さらに、飲食の観点では、乳酸発酵によって食品のpHが下がり、保存性が高まるとともに、独特の風味(うま味)が生まれるという特徴もあります。
このような機能をもつ乳酸菌を多く含む食品としては、ヨーグルト、チーズ、漬物、味噌、醤油、キムチなどが挙げられます。また、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を多く含む野菜や果物、大豆製品なども重要です。では、乳酸菌と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
腸から整う、心も整う
人間の腸内には約100兆個の腸内細菌が存在し、これらは腸内フローラを形成しています。近年注目されている腸と脳の関係性、いわゆる「腸脳相関」の観点から、乳酸菌とメンタルヘルスとの関連が認められています。腸と脳は迷走神経を介した直接的な情報伝達のつながりがあり、内分泌系におけるホルモン調節、免疫系における炎症反応やサイトカインとも深く関係しています。また、短鎖脂肪酸などの代謝産物も重要な役割を果たしています。
乳酸菌は、このような腸内環境を整えることによって、間接的に脳や心理状態に影響を及ぼすことが分かってきました。例えば、神経伝達物質の一種であるセロトニンは、その約90%が腸内で産生されます。腸内環境が整うことで、セロトニンの前駆物質であるトリプトファンの代謝が安定し、その結果、抑うつの軽減、情緒の安定、睡眠の質の向上などが生じ、うつ病の予防にもつながるとされています。
また、慢性的なストレス状態では、視床下部―下垂体―副腎皮質系(HPA軸)が過剰に活動し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加します。しかし、乳酸菌を摂取することでコルチゾールの分泌が抑制され、ストレス耐性が向上し、不安や緊張といったネガティブな感情の軽減につながる可能性が示唆されています。さらに、うつ病や不安障害の一部では、軽度の慢性炎症による炎症性サイトカインの増加が確認されており、乳酸菌には腸粘膜バリアを強化し、炎症性サイトカインの過剰産生を抑制することで、メンタルヘルス上の問題を緩和する働きがあると考えられています。
このように、メンタルヘルスにポジティブな影響を及ぼす乳酸菌などは「サイコバイオティクス」と呼ばれるようになっています。ただし、精神疾患の治療そのものを代替するものではない点には注意が必要です。サイコバイオティクスは、どちらかといえばメンタルヘルスの予防に活用していくことが望ましいと考えられます。
最後に
メンタルヘルスに良い影響を及ぼす乳酸菌ですが、日常的にはヨーグルトなどから摂取することが多いでしょう。重要なのは、一時的な摂取ではなく、数週間から数か月にわたる継続的な摂取によって初めて効果があらわれるという点です。また、個人差が大きく、必ずしもすべての人に効果があるとは限らない点にも注意が必要です。さらに、乳酸菌の摂取だけでなく、運動、適切な睡眠、日々のストレス・マネジメントと組み合わせることで、相乗効果が期待できます。心理学では、乳酸菌についても主にメンタルヘルスの観点から研究や実践が進められているのです。

著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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