早慶戦の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
11月21日は「早慶戦の日」
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月7日は「盗難防止の日」に制定されています。これは一般社団法人・日本損害保険協会が制定したものであり、日付の由来は。「とう(10)なん(7)」(盗難)の語呂合わせからきています。この日は家屋侵入盗難・自動車盗難などの盗難被害を防ぎ、これらの窃盗犯罪をなくすことを目的としてた啓発運動などが行われています。
では、盗難と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
早稲田・慶応の心理学専攻、研究と教育の最前線
早稲田大学と慶応大学は共に日本の私立大学の雄であり、いずれの学部・学科も偏差値の高い大学であるということで有名であるかと思います。そして、どちらにも心理学専攻のコースがあり、高いレベルの研究と教育が実施されています。そして、早稲田大学と慶応大学には、それぞれ、著名な心理学者の先生が在籍し、研究と教育に従事されていました。
日本版性格検査の礎を築いた矢田部達郎先生の歩み
矢田部達郎先生は1918年に東京帝国大学(東京大学)を卒業後、1920年から1924年にはフランスとドイツに留学し、フランスのソルボンヌで研究活動に長く従事されています。帰国後、九州帝国大学(現在の九州大学)の助教授や、京都帝国大学(現在の京都大学)の教授、そして、早稲田大学の教授などを歴任されています。そして、有名なパーソナリティ検査であるY-G性格検査の正式名称は「矢田部 = ギルフォード性格検査」であり、日本版の作成者は矢田部先生です。
内田勇三郎先生、精神作業検査の革新と心理学への貢献
内田勇三郎先生は東京帝国大学(現在の東京大学)の心理学科を卒業された後、1921年に財団法人・協調会産業能率研究所で心理専門職としてキャリアをスタートさせています。その後、1928年に文部省・体育研究所や法政大学、そして、早稲田大学に務められています。1939年に早稲田大学を辞職後は日本・精神技術研究所を設立し、所長に就任されています。内田先生の功績の中で最も有名なのが、クレペリン精神作業検査を発展させたことです。内田先生はクレペリンの提唱した作業曲線のアイデアと、クレッチマーのパーソナリティ類型論を結びつけて新しいパーソナリティ理論を構築しました。そして、その理論に基づいた内田 – クレペリン精神作業検査を開発しました。
横山松三郎先生、感情研究と実験心理学を日本に根づかせる
横山松三郎先生は17歳でアメリカに渡ると、コロラド大学やハーバード大学で心理学を学んだ後、クラーク大学に移ってからは、感情の研究に従事し、博士号を取得しています。帰国後、慶應義塾大学に心理学実験室を開設し、主として感情、感覚の研究を続けるとともに、厳密な実験的方法による心理学研究法に日本に根づかせることに貢献しています。また、様々な心理学関連の学会長、編集主任などを歴任するなどを通して、日本心理学会など、いくつかの学会の発展に力を注いでいます。
心理学を数学で解く、印東太郎先生の革新的研究と功績
印東太郎先生は慶應義塾大学卒業後、1973年まで同大学の教授を務められています。そして、翌年の1974年からアメリカのハーバード大学に留学し、心理学の研究をさらに進められています。1979年には、カリフォルニア大学アーバイン校で心理学の教授を務められています。印東先生が専門とされるのは数理心理学とよばれる分野です。数理心理学とは、フェヒナーの精神物理学における対数法則、エビングハウスの忘却曲線、サーストンの学習曲線などのように、感覚・知覚・認知・学習など心理学の各領域における構造を数学的表現により理論化したものです。また、情報処理のメカニズムや、意思決定理論は経済学の効用理論などについても研究対象としています。データは実験の内容・目的によって連続量の場合も、離散量の場合もあり、こうして数量化されたデータを対数関数・指数関数・微分方程式・積分変換・行列代数・確率分布・確率過程などを用いて分析して理論を構成していきます。印東先生は主要な学術雑誌に100以上の研究論文を発表しており、心理学的に視覚空間の幾何学的表現、色空間、意味記憶の確率的表現、能力試験を数理モデルで検討しています。
最後に
このように、早稲田大学と慶応大学にゆかりのある先生方が心理学の研究・実践に尽力されたことが、現在の日本心理学の礎となっているのです。

著者・編集者プロフィール
この記事を執筆・編集したのはこころのサイエンス編集部
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